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シヤチハタから学ぶ事業の本質
― 私たちが提供しているものの正体 ―
誰もが一つは持っているシヤチハタですが、正式な書類ではよく「シャチハタ不可」とあります。
これは、シヤチハタは正式なハンコとして「使ってはいけない」という意味で認識されています。
しかし、その当事者である シヤチハタ株式会社 の考えは、意外なもので、「むしろ歓迎です」とのことでした。
シヤチハタは、1925年創業の名古屋に拠点を置く、押しも押されぬ100年企業ですが、ここにこの会社の本質が詰まっていると感じました。
ハンコを売る会社ではないという発想
シヤチハタは、早い段階から「脱ハンコ」に取り組んできました。
電子印鑑やクラウドサービスといった、時代の変化を見据えた事業です。
しかし、それらの多くは長年赤字で、通常であれば撤退しても不思議ではありませんが、辞めませんでした。
理由として、それは「ハンコを売る会社」ではなく、しるしの価値を提供する会社として認識しているからです。
紙であろうがデジタルであろうが、「証明する」「承認する」という本質は変わらない。
そしてコロナ禍をきっかけに、その取り組みは一気に花開きました。
自分たちの仕事を問い直す
この話を知ったとき、強く自分たちと重なりました。
これまで私たちは、自分たちの仕事を「床を削る仕事」と説明してきました。
しかし、経営指針をつくる中で向き合い続けた問いがあります。
- 自社は何屋なのか
- どんな価値を提供しているのか
すぐに答えは出ませんでした。
何度も考え、現場を見つめ直し、数年かけてたどり着いた結論。
私たちの本当の仕事
それは、床を削ることではなく、安心と時間を提供することです。
具体的には、次のような価値です。
| 提供している価値 | 内容 |
|---|---|
| 工期の安心 | 予定通りに終わる信頼 |
| 現場の安心 | 次工程へ影響を出さない施工 |
| 対応力 | トラブル時の迅速な対応 |
| 時間の創出 | お客様が“考えなくていい状態”をつくる |
つまり私たちは、施工そのものではなく、余白を生み出す仕事をしているのです。
価値を形にする取り組み
この考えに至ってから、行動も変わりました。
① 2024年問題への対応
施工管理や監督業務を担える人材・チームを提供。
元請け様の負担を軽減し、コア業務に集中できる時間を生み出します。
② 教育と安全の強化
社内教育の徹底や安全大会の実施により、「任せても大丈夫」という安心を見える形にしています。
③ 倉庫の見える化
通常は公開しない倉庫をあえて公開しています。
- 機械の保有台数
- 緊急対応できる体制
- 専任担当者の存在
これにより、「何かあっても大丈夫」という安心を事前に伝えることができます。
一貫しているのは不安を減らすこと
振り返ると、私たちの取り組みはすべて同じ方向を向いています。
- 不安を減らす
- 無駄な時間を減らす
- 任せられる状態をつくる
「床を削る会社」ではなく、安心と時間を提供する会社であること。
これが、私たちの本質です。
成功の本質はやめなかったこと
この話からもう一つ強く感じたのは、成功の本質は「当たったこと」ではないということです。
やめなかったこと。
早すぎる挑戦でも、続けていればやがてそれは先見性に変わります。
次の100年に向けて
私たちも、自分たちの価値を履き違えず、やめずに積み重ねていきます。
床を磨く技術の先にあるもの。
それは、安心と時間という目に見えない価値の提供です。
これからも、その本質を磨き続けていきます。